国内で流通する「M型コネクタ」について

国内で流通する「M型コネクタ」について
JJ3KTW
2016/06/20 作成
2018/12/28 改訂
調査、実測:JR3LEZ
調査、まとめ:JJ3KTW
1.課題
国内で「M型コネクタ」と称して販売しているコネクタを使用する際、プラグがレセプタクルの途中までしか入らない場合がある。WEBでの検索では、ピッチが異なるコネクタが存在するなどの情報が得られるが、詳細を記載したものは見当たらなかった。原因を明らかにするため、規格等の情報収集、及び、実測調査を実施する。
 
2.まとめ
・国内で流通する「M型コネクタ」称して販売されているコネクタにはインチ規格(名称:UHFコネクタ 5/8inch,24TPI UNF)とミリ規格(名称:M型コネクタ M16P1)の2種類があり互換性は無い。
・機器側(レセプタクル)がM16P1レセプタクルであった場合、UHF(5/8 24UNF)プラグ(PL259)は接続できない。UHF(5/8 24UNF)プラグ(PL259)を使用する場合、レセプタクルがM16P1でないことを確認する必要がある。
・機器側(レセプタクル)がUHF(5/8 24UNF)レセプタクル(SO239)であった場合、M16P1プラグでもほぼ接続できる。
・最近の無線機や機器のレセプタクルは、M型と称してもUHF(5/8 24UNF)レセプタクル(SO239)の場合が多い。また、M16P1プラグとの接続を確実にするため、UHF(5/8 24UNF)レセプタクル(SO239)をベースにして、外径を小さく(15.5mm)したり、ネジ山の数を少なくしたレセプタクルがある。
・旧型の国内機器は、M型(M16P1)レセプタクルを使用している場合が多い。この場合、UHF(5/8 24UNF)プラグ(PL259)は接続できないので、混乱を生じている。
・モービルホイップのプラグ部分は、国内有名メーカーではM16P1が多いが、海外製品ではUHF(5/8 24UNF)プラグ(PL259)を使用している。基台側が、UHF(5/8 24UNF)レセプタクル(SO239)の場合は問題ないが、基台側がM16P1の場合は、UHF(5/8 24UNF)プラグ(PL259)のモービルホイップは接続できない。
・国内有名メーカーのモービル用コネクタ付ケーブルのレセプタクルは、最近のものでは、UHF(5/8 24UNF)レセプタクル(SO239)、またはその改造品を使用しているが、旧型製品ではM16P1レセプタクルの場合がある。
・現状では、国内でアマチュア無線向けに、M型と称して販売しているプラグやレセプタクルは、M16P1が多いが、M型と称してもUHF(5/8 24UNF)プラグ(PL259)やレセプタクル(SO239)の場合があるので注意が必要である。
・現状では、接続相手が不定な場合、プラグはM16P1、レセプタクルはUHF(5/8 24UNF)(SO239)を使用するのが無難である。既に、国内有名メーカーの比較的新しいコネクタ付き製品は、このようになっている。
・通販サイト等で、ミリ規格は廃番になったとの記事が散見されるが、JIS C5419が存在しているので誤りである。
・個人でパーツとして、高品質なUHF(5/8 24UNF)レセプタクル(SO239)を入手するのが難しい。
 
3.コネクタの規格について
国内で「M型コネクタ」と称して販売されている、プラグ、レセプタクルには、2つの規格が混在している。両者は別の規格であり互換性は無い。一見すると見分けがつかないため、混乱を生じている。
1)インチ規格(名称:UHFコネクタ)
・外径 15.875mm(5/8inch) ピッチ 1.058mm(24TPI UNF)
・プラグ:PL259
・レセプタクル:SO239
2)ミリ規格(名称:M型コネクタ)
JIS C5419
・外径 16mm ピッチ 1mm(M16P1)
 
4.調査結果
1)実機実測調査
実機のレセプタクルの実測を行った。
・M型(M16P1)レセプタクル
外形15.80mm(ノギス)、ピッチ1.0mm(ピッチゲージ)
・UHF(5/8 24UNF)レセプタクル(SO239)
外形15.60mm(ノギス)ピッチ1.058mm(ピッチゲージ)
・UHF(5/8 24UNF)レセプタクル(SO239)改造品(外形を小さく(15.5mm)している)
外形15.50mm(ノギス)ピッチ1.058mm(ピッチゲージ)
 
2)現在の販売状況ついて
・トーコネ
M型と称して高品質なM16P1を販売している。
・国内無線ショップ
M型と称してM16P1を販売していることが多いが、M型と称してもUHF(5/8 24UNF)の場合がある。
・国内パーツショップ
M型と称してM16P1を販売していることが多いが、M型と称してもUHF(5/8 24UNF)の場合がある。また、UHFコネクタと称して、UHF(5/8 24UNF)を販売している。なお、通販サイト等で、ミリ規格は廃番になったとの記事が散見されるが、JIS C5419が存在しているので誤り。
・海外
UHFコネクタと称して、UHF(5/8 24UNF)を販売している。
 
3)各レセプタクルの接続時の状況と機器メーカーの採用状況について
各規格のレセプタクルそれぞれに、各規格のプラグを接続した結果を以下に示した。 また、2つの規格のプラグの両方に対応するために、改造したレセプタクルを装備するメーカーもあるため、 それについても結果を示した。但し、同一メーカーでも製品により異なることがある。
A)M型(M16P1)レセプタクル
・M型(M16P1)プラグを繋いだ場合
適合(使用可能)
・UHF(5/8 24UNF)プラグ(PL259)を繋いだ場合
浅くしか入らない(使用不可)
・採用機器例
国内旧型無線機、国内旧型モービル用コネクタ付同軸ケーブル、国内コネクタ変換ケーブル
B)UHF(5/8 24UNF)レセプタクル(SO239)
・M型(M16P1)プラグを繋いだ場合
終始ガタつきながらねじ込んでいくと堅くしまるが若干ガタが残る(使用可能)
・UHF(5/8 24UNF)プラグ(PL259)を繋いだ場合
適合(使用可能)
・採用機器例
国内・海外各社の無線機、海外メーカー機器
C)UHF(5/8 24UNF)レセプタクル(SO239)をベースで外形を小さく(15.5mm)したもの
・M型(M16P1)プラグを繋いだ場合
終始ガタつきながらねじ込んでいくと堅くしまるガタはほぼ無い(使用可能)
・UHF(5/8 24UNF)プラグ(PL259)を繋いだ場合
適合(使用可能)
・採用機器例
国内各社の無線機、第一電波の機器・アンテナ・基台
国内有名メーカーのモービル用コネクタ付同軸ケーブル
D)UHF(5/8 24UNF)レセプタクル(SO239)をベースでネジ山の数を少なくしたもの(5山程度)
・M型(M16P1)プラグを繋いだ場合
終始ガタつきながらねじ込んでいくと堅くしまるガタはほぼ無い(使用可能)
・UHF(5/8 24UNF)プラグ(PL259)を繋いだ場合
適合(使用可能)
・採用機器例
コメットの機器
 
4)モービル用機器の状況について
A)国内有名各社のモービルホイップ
基台に使用するレセプタクルがM16P1である場合を考慮して、M16P1プラグを採用している。UHF(5/8 24UNF)レセプタクル(SO239) にも使用できる。
B)海外製品、一部の国内各社のモービルホイップ
UHF(5/8 24UNF)プラグ(PL259)を使用している。M16P1レセプタクルでは使用できない。
C)国内有名各社のモービル用基台のレセプタクル
アンテナがPL259であることを考慮して、UHF(5/8 24UNF)レセプタクル(SO239) を採用している。 また、M16P1プラグへの対応のため、UHF(5/8 24UNF)レセプタクル(SO239)をベースにして、外形を小さく(15.5mm)したり、ネジ山の数を少なくしている場合もある。
D)国内無線ショップ、パーツショップのモービル用レセプタクル
M16P1が多い。M16P1 50オーム整合型も入手可能。M16P1の場合は、UHF(5/8 24UNF)プラグ(PL259)のモービルホイップは使用できない。 なお、50オーム整合型などの高品質のSO239は入手困難である。
 
5)各無線機でのカタログ表記と実際(日本版)について
近年発売の無線機のレセプタクルは、UHF(5/8 24UNF)、M16P1の両方のプラグに対応するためSO239、または、 M16P1プラグ使用を考慮したSO239の改造品(小径 SO239等)を採用している。
 機種   カタログ表記  実際(実測)
・IC-7000   M型     小径SO239
・IC-7100   SO-239   小径SO239
・IC-208    M型
・IC-5100   M型
・IC-756Pro3 記載無し
・IC-7600   記載無し
・FT-1907   M型     SO239
FT-817    M型     小径SO239
・FT-857    M型     小径SO239
・FT-991    M型     
 
以上